きぼうの灯かり~灯台にまつわる8のちいさな物語~をAmazonで見る
灯台を巡る人々の8つの短編と灯台LOVEの著者が語る灯台のトリビアや思い入れ他あれこれを綴ったエッセイで構成された作品集。
灯台守や灯台がある村や町に住む人たちの思いや絆を綴るオムニパス短編は全部で8つ。
明治維新前後・木造の灯台の守人の青年と戦に行く青年のやりとり「浦賀発蝦夷地往き」、灯台で暮らす父と娘のある日の風景「希望の光」、昭和の東北の漁村を舞台に親子の絆と淡い恋模様を描いた「霧に沈む灯」2編、両親を待ち一人灯台を守る少女「かわらないもの」少年たちの度胸試しの儀式「灯台元暗し」などなど。様々な地域と場所なれどいずれも灯台を舞台にした物語。灯台を通して親子の、友達の、恋の相手の絆が綴られています。
物語的に一番印象的で読み応えがあったのは霧に沈む灯かな。外から来た灯台守の娘と主人公の少年の淡い恋模様と主人公家族、とくに主人公と父親に焦点を当てた物語。これだけ続編があるのですが、主人公の父が主人公に託したもの、その意味合いは渡す側と渡された側で微妙に違ってたていうのがなんかせつない。まあ修正され道は開けたけど。
で、短編ストーリー並みにページがあるのが著者の灯台語り。なんというか並々ならぬ灯台への愛がびしびし伝わります。実際灯台付近に引っ越したそうですし。どちらかというと山側の人間なので海や灯台には明るくなく灯台のトリビアなど興味深く読みました。最初の短編の舞台になった木造の灯台があるというのが一番へえーと思った話題でした・・。
巳蔦汐生
ゼロコミックス全1巻 / リブレ出版
ジャンル:少女・ドラマ・エッセイ / 好み度:★★★★☆