平穏な学生生活を送る少女・こゆるは憧れの先輩・光子を追いかけドイツへ。そこは航空機レースの世界だった。
えーとかなり独特の雰囲気を持ったつかみどころの難しいタイトル。画面構成は1ページあたり横長の定型のコマが4つ。その絵面ゆえか昔の芸術系映像というかカンヌあたりに出されそうな映画を思わせる雰囲気。映画を漫画という形態に起こしてみたというべきか。
物語は、昔の欧米の女学校を思わせる女学生同士の会話や、主人公と憧れのお姉さま・光子との会話からの始まり。そうこうしているうちに光子はどこかに出かけるようだと主人公が見送りに近づくと、光子のおつきの女性?が一緒に行かないかと誘われついていくことに。連れられた先には航空機のレースが待っていて、物語の本筋もレースなわけですが、レース周辺の様々な人たちの思惑などばかりが描写されレース自体にはなかなか進まず。
主人公の言動がどうも浮世離れしたというか夢見がちなものが多く画面も幻想的なものが割と現れる。主人公の妄想のようなものかと思いきやそうでもないようで。天使の羽というファンタジーの翼と航空機のギミックの翼を抽象的に対比表現している節もあり。
航空機レースというと無骨というイメージがありますがそういう空気がほとんど感じられない珍しいつくり。
物語もいちおうきちんと進んでいますがやはり不思議な雰囲気と迷宮のような構成を楽しむタイトルか。
表題であるななめの音楽が物語の肝であるようですがよくわからん・・。
川原由美子
ソノラマコミックス全2巻 / 朝日新聞出版
ジャンル:少女・ドラマ / 好み度:★★★★☆