金貸し業の旭が借金の取り立てに向かった店には、店主はおらず住み込みで働いていたというカンナという青年のみ。カンナと旭は同級生だったとわかり、旭はほぼなりゆきで行くあてのないカンナを自宅のボロアパートに住まわせることになる。
必要以上に持たないカンナ、どこか頑なさをもって一人で生きる旭。一見タイプが違うように見えて、親しい人間に捨てられたり失ったりした過去から孤独な心を抱えつつなんともない風に生きるある意味似た者同士な二人が、同居により離れがたい存在になる、ゆったりとしたやさしくもせつない恋のお話。
どちらも孤独というか寂しさを内包しつつも悲壮感ありじゃなく飄々と生きるふたりが欠けたものをなんとなく埋めるようなメンタル関係になる過程が良い。都会のハードボイルド的スタイリッシュさと下町の人情ほのぼのさがイイ感じにあわさっている世界観とか。
日本映画におけるたるっとした雰囲気のなんとなく日常なエピソードの連続から徐々に二人の距離が縮まっていくというか。うーんカップルの気質とか作風を上手く言えないもどかしさよ。
劇的な演出というか話におおきな盛り上がりがほとんどないのに、ものすごくドラマを感じるのは、情景描写が秀逸だからか。
BL的にはカンナが男性風呂屋まがいなところに勤めていたということで、旭の部屋に居候する代わりに・・みたいなはじまり。なにげーなかんじの描写はなんか萌えると同時にネガティブでないせつなさのような感情がこみあげる。
三池ろむこ
花音コミックス全1巻 / 芳文社
ジャンル:ボーイズラブ / 好み度:★★★★☆