唐や三国志時代など古代中国王朝を舞台に、旅の唄うたいに身をやつした野狐の青年と彼が干渉する人間たちの物語。
主人公、というか物語の狂言回し的な役割を担うのは、野狐である唄うたいの青年。野狐とは修行中の狐で、狐の神の依頼などで戦や世を乱す原因となる人間に干渉し事態を収束させている。人間の世が乱れると同胞たる動物にも被害が及ぶためであり人間を救うのが本来の目的ではないわけですが。
非道な人物として有名な施政者を物語の主格に据えてそのドラマを描いていますが、彼らにはやんごとなき事情というか人の情がまったくないわけでなく、むしろ情が深いゆえに間違った選択や行き過ぎた行動により不幸を招いた、という構成が印象的。
著者の既作品同様、人の愚かさとか情とかを丁寧に描きつつ寓話のようにきれいにまとめられた内容は秀逸。
長池とも子
プリンセスコミックス全4巻/ 秋田書店
ジャンル:中華ファンタジー・少女・ドラマ / 好み度:★★★★☆