紫色のクオリア 綱島士朗 / うえお久光

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人間を含めた生き物すべてがロボットに見える少女・ゆかり。赤という色を言葉でどう見えるかという問いには赤いとしか言えないように、その少女もロボットに見えるとしか言えない。ただロボットとして認識するだけでなくその人物の身体特徴や能力を見抜けるなどの特殊なスペックもある。そんなゆかりの特性をそういうものだと無条件に受け入れ友達であろうとし続ける少女・学が、彼女との出会いをはじめとした少女の人となりを語り物語の語り手の立ち位置も担っている。
不思議設定込み百合っぽいノリ込みの学園ものを下敷きにした「認識」を主題にしたシビアなSFといったところか。ラノベ原作なだけに議論というか人物同士のやりとりは緻密。ゆかりの能力により関わりを持つことになる猟奇殺人事件やゆかりの特性を知るものの離れた女子の存在、ゆかりの見る世界の形などいろいろと興味深いタイトル。うまく世界観を説明できないのがもどかしい;

原作:うえお久光 / 作画:綱島士朗
電撃コミックス全3巻 / アスキーメディアワークス
ジャンル:少年・SF / 好み度:★★★★☆