死舞能 谷岡曜子 / 大塚英志

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資料から読み取る犯人像を能面に彫りこむ盲目の能面師、その面を着け舞い能面師の組み立てたプロファイルを読み解く能楽師を軸に、困難な事件を描くミステリサスペンス。
2人がコンビで立ち回るという単純な始まりではなく、ある過去から分かれていた2人を、女性の刑事が彼らの力を捜査に役立てるため合わせたという始まりかな。題名にもなっており話の軸である死舞能というのは過去発生した不明瞭な連続殺人で、一時収束していたものの再び発生しはじめたもの。プロファイリングを行う2人の関係と心的特徴などを当初の事件で紹介しつつ、死舞能を行う組織が起こす事件を追うという形が明瞭になっていく流れ。
能というモチーフが使われているためか、オカルト的というか頽廃的というか重苦しくも静謐な、ある意味つかみ所がない構成。能面師と能楽師の特質をプロファイリング能力に当てはめるために、無理やり感のある設定や展開もちらほら。とはいえ雰囲気はあるし、能の世界を印象的に描写しているため面白く読めましたが。ただミステリとしては賛否両論になりそうな内容かも。能の世界と心理学の関連性のくだりは興味深かったかな。

原作:大塚英志 / 漫画:谷岡曜子
角川コミックスエース1巻 / 角川書店
ジャンル:青年・ミステリ / 好み度:★★★☆☆