仕事は順調で、充実しかつ自身にあふれた日々を過ごしていた29歳の女子アナウンサー。そんなとき大好きだった伯父が亡くなり、同時期に番組の帯ニュースからはずされる。伯母に相談をしに行くも彼女は海外へ行っており、ともに伯母の家の管理を任された自分と同じ名を持つ正反対のタイプの女性と伯母の家で住むことを選択する。
物語のとっかかりというか主人公の以前と違う環境をつくる過程が少々ややこしいものの、主人公が自分を見つめなおす環境設定としては良。はっきりとものを言う同居人や仕事仲間の誠実そうな男性など主人公とは真逆とも言える人物を周囲に配置とか、仕事一本だった主人公が婚活で浮き足立つエピソードとか。主人公が女子アナというのは、スペックが高くあふれる自信を持って道を進んでいた女性が立ち止まっていろいろ考えるという主題を描きやすい職なのかな。
煩雑とも言える主人公の環境の変化はある意味リアリティがあるなあ。問題発生や変化は重なるときにはほんと重なるもんだし。主人公の心情描写は飾らない本音がきっちり出ているかんじ。実直に三十路前という時期の女性の選択と人間ドラマを描くのか、もうひとひねり出してくるのか気になるところ。
槇村さとる
マーガレットコミックス全3巻 / 集英社
ジャンル:女性・ドラマ / 好み度:★★★☆☆