喰種という人を喰らう種の存在がマスメディアなどにも取り上げられ一般に広く知れ渡っている現代世界。
主人公のごく普通の少年は、身の危機たる喰種の話題よりもクラスメイトの女子がとても気になる。そして件の女子が主人公に近づき浮かれるものの、実は女子は喰種だった。
喰種に襲われ喰われかけたところに鉄骨が落下し、主人公を喰おうとした喰種は下敷きになり絶命。命は助かったものの重傷を負っており、搬送先の病院の治療で、死んだ喰種の内臓を移植される。そしてその移植により主人公は喰種となってしまう。
臓器移植によって喰種になってしまったが移植しなければ死んでいたかもしれないという不条理なはじまり。食欲減退、味覚の変化、強烈な飢餓感。心がまえなく異種の存在となった主人公の、人間のそれとは離れていく様子や冷静に状況判断しつつも追い詰められる心情描写が巧み。
人を喰いたい衝動に苦悶する主人公を助けたのは同じ喰種という展開は、自然だと思う一方でがやるせなくもあり。人間社会にまぎれて生きる喰種、欲のままむさぼろうとする喰種、という喰種同士の衝突があり。喰種のコミュニティに主人公が関わることで、喰種となった主人公が理性をとるか欲望をとるか自分の在り方を探す展開になるのかな。
生臭いオカルトものらしい荒い線画だがスタイリッシュさも内包している絵柄。
石田スイ
東京喰種 トーキョーグール 全14巻
東京喰種 トーキョーグール:re 1~
ヤングジャンプコミックス / 集英社
ジャンル:青年・ダークファンタジー / 好み度:★★★☆☆