家を出た父の代わりに実家の寺の副住職を務める女性僧侶をはじめとし他の寺院の僧侶、彼女の家族、檀家の人たちなどの人間模様を描いた寺と仏と人生に纏わるご近所+家族ドラマ。
主人公は女性僧侶。家庭を持つ身の僧侶にも関わらず女を作り家を出た父親の代わりに実家の寺を継ぐべく副住職とつとめる女性。母は既に死亡、家族は住職の祖父、父とその浮気相手との間に生まれた少年、つまり半分血の繋がった弟の二人。あと寺関係の親戚もわりと親しい間柄。弟の実母は弟を置いてほとんど連絡なし、父も行方知れずという状況。
複雑な家庭内のエピソード、檀家の故人と残った家族の話とか堕胎した女子高生の話とか。人生や生命、生と死など、ありふれた、でも生きる上の命題みたいなテーマが、ある時は一般人の視点で、また僧侶というか仏の道の視点で丁寧に描かれていく。
等身大の人間ドラマ、世知辛さやままならなさ、優しさやいたわりなど様々な人間の感情も行いも関係性も、等身大というか押しつけがましくなくさらりと描かれているところに好感が持てる。お盆やお地蔵様の由来、仏陀の教えのエピソードなど仏教関連の知識も無理なく入れていて勉強になる。
人間描写というかドラマ展開はわりと優しめ。衝突や行き違いはあるけどわりとあっさり落ち着いた決着がつくので読みやすかった。1巻で印象的だったのは虐待を受けていたにも関わらず母の味方である弟の心理。あるあるだよなあ・・。
えらく仏教関連の描写が自然体だなと思ったら著者の実家がお寺だそうで。なるほど。
竹内七生
BE LOVE KC全6巻 / 講談社
ジャンル:女性・ドラマ / 好み度:★★★☆☆