したゆったりした日常と人の絆と恋の痛みを綴った著者らしい作品集。ありふれた日常の中のちょっとした事件をうまく使って男女の絆を表現する手法はやっぱりすごいなーと思います。
「手紙」
離れて暮らす「おかあさん」の存在が主題。心配性の母からの電話にうんざりする主人公の姿ではじまる。主人公は同居していた女性に彼氏ができたことから引越すことに。購買のバイトくんが気になる存在の主人公の描写の後、手違いから先住者宛ての母親からの手紙が主人公のポストに。主人公は悪戯心から先住者として手紙の「母親」に返事を書くが。
手紙がきっかけで展開されるハプニングとラブコメ、自然と湧き出る感情の吐露、好きな人の親子関係を見てうざく感じた自分の母親との関係の見方が変わる主人公。恋愛話と親子話がうまく融合した秀作。
「ソラミミハミング」
せつない話だなあ。ほのぼのなのかと思わせておいて最後で実はこういうことでしたと読み手をびっくりさせるタイプの構成。わかっていたわかっていたけどやっぱり好きでゆったりとした共有した時間から離れられなくて。最後の感極まった主人公の女性の表情は印象的でした。
「河を渡る、きみと歩く」
主人公は漫画家さんと、ファンから恋人になった女性。5年の同棲の後彼女はある日家出をします。途中の電車で不思議な男の子に出会いそのまま長野の実家に帰る彼女だが。不思議要素の入ったハートフル物語。男の子が物語の鍵。
あっと驚くけどベタなオチ。だがそこが良い(笑)それにしても田舎の情報の伝播ってすごい・・。
あとがき・我が家の食卓はうどんの話。アシさんすごすぎる。
谷川史子
リボンマスコットコミックスクッキー全1巻 / 集英社
ジャンル:恋愛・女性 / 好み度:★★★★☆