人間が食物連鎖の下位に落ちた時代。荒廃した地上で集落を作り他種族の脅威に怯える人々にとって不死という噂もある人々の救いたる象徴の人物「リュウマ」を巡る物語。
虫など現実では小さな体の種族が巨大化し、人間を襲撃しているという設定。文明は朽ち外敵に命の危険を感じつつ避けて生きねばならない世紀末的な状況においての救世主たる存在「リュウマ」。不死の伝説すら持つが、実際は戦闘能力の高い人間以上のものでなく、また真実の「リュウマ」は唯一人を指しているものでなく。「リュウマ」を名乗り人々を救う人物が敗れた際死に水をとった人物が遺志を継ぐなど名前が受け継がれていっているようで、題名のガゴウは雅号ということらしい。偽者も出てくるが下種の悪役で終わらずリュウマの伝説に尽力することになったり、リュウマの秘密を守る集団がいたりと小刻みにエピソードが続く。
名乗る者、実情を知る者、受け継ぐ者、「リュウマ」に関わる複数の登場人物を各々を主体とした連作形式で登場させ、2巻目で本筋が動く、という仕様らしい。シビアさと痛快さがいいバランスで繰られている良作。完全無比の存在によるヒーローものでないゆえにリアリティがあり奥が深い。
宮下裕樹
ヤングキングアワーズコミックス全10巻 / 少年画報社
ジャンル:青年・ドラマ / 好み度:★★★★☆