同名オカルトドラマ小説のコミカライズ。表向きは老舗の漢方薬局兼雑貨屋だが本来の顔は、高額の報酬のかわりに依頼人の深い恨みを引き受ける報復屋「蛟堂」。その店主であり類い希なる陰陽師の青年の物語。
話の骨格はミステリサスペンス分野でよく見られる内容。主人公は狂言回しであり、主人公の依頼人が物語の主役。恨み辛みを不思議な力で晴らす、多大なる代価を支払ってもそれを行ったり自業自得で自滅とか因果応報とかが展開されるお話。
実在する古今東西の寓話・童話・物語になぞらえた「報復」が特徴であり肝でもあるのだろう。
ぶっちゃけ定番な内容だが読み応えは確かにある。依頼人と報復対象者の人間描写はかなりリアルだし似たような結末になっていない。後味が悪いのもこの話の醍醐味だしね。作画担当の絵は丁寧な処理で読みやすい。
ただ話運びのテンポはなじめなかった。また蛟堂の主と身内の太郎のキャラ描写もいまいち魅力に欠ける。横柄なキャラとお人好しキャラの対比も見せ所の1つだと思うのだが印象が弱い。実質物語においては脇役とも言えるのでそれはそれでいいかもしれないけども。
原作:鈴木麻純 漫画:瀬野春紀
アルファポリスコミックス全9巻 / アルファポリス
ジャンル:青年・オカルトミステリ / 好み度:★★★☆☆