ある負い目から礼央は茗子の束縛に従い彼女の「奴隷」になっている。傍からみれば歪ともいえる状況を、礼央に想いを寄せる礼央の同級生に知られたことから二人の関係は変化していく。傷と痛みと愛情と執着の百合劇。
ボーイッシュなキャラ礼央と可愛らしく男受けする容姿を持つ茗子。高校時代、茗子が男子と恋愛がらみで複数の女子たちに問い詰められていたところを礼央が助け、以来友人同士になったふたり。茗子がいじめから足をひねったとき、礼央に男子との恋愛フラグがたち、茗子がひとりで下校したところ彼女は暴漢に襲われてしまう。
自分が一緒に帰っていたらという罪悪感をもつ礼央に、茗子は礼央を独占したいがためその罪悪感を使い彼女の行動と感情を束縛する。茗子の言うことをなんでもきく礼央、大学に入った現在もその主人と奴隷のような関係は続いていたが・・。
礼央に恋愛感情を含む好意を持つ彼女の同級生が二人の秘密を知ったことをはじめとしていろいろなエピソードを重ねつつ二人の関係の変化とそれに伴う感情の描写が生々しくもあり清々しくもあり。
愛憎劇なんだろうけど、物語やエピソードなどはドロドロとまではいかないかなという印象。相手への執着とか固執とかといった心情のかたちの描写は文学的で秀逸だなと感じます。リアルさをうまく組み込みつつ百合ものとして読ませる内容というか。ねっとりした題材でもどこか透明さがある。
コダマナオコ
百合姫コミックス全1巻 / 一迅社
ジャンル:百合 / 好み度:★★★☆☆