野坂望(ノノ)・直紀・清人・哲也は家族ぐるみで親しい幼なじみ。みんなノノを大切に思い守ろうとしていた。しかしノノが性同一性障害だとわかったとき4人の関係は少しずつ変化していく・・。
心は女の子、体は男の子という性同一性障害のノノを中心に巡る人間模様といったところか。ノノが話の中心ではありますが心理描写かつ語り手はノノとある意味一番近しい幼馴染の一人。幼馴染たちだけでなく彼らの親や語り手にとってノノ以外の近しい人間も登場し物語に関わっていきます。
私が持つ性同一性障害をテーマにした話のイメージとはちょっと違うなあと思ったのが第一印象。漫画的じゃないなあと思ったら原作者の人ってドラマ脚本家ということを知りなんとなく納得。
展開が確かにそれっぽい。怒涛というか状況が二転三転するところとか、他者の心理を想像して語るモノローグなどがとことん詩的でちょっと難解。良くも悪くも文系なつくりというべきか。
物語としての完成度は高いと思います。ある時期に顕著に見られる不安定で純粋な描写は見事。最後にタイトルの意味がわかるという構成とかさすがにうまいなあと思いました。はじめから現代設定だけどフィクション的誇張が多い構成と見れば読み応えがあるタイトル。作画担当がいかにも少女漫画って絵柄ではなく画面構成力が高いところも読みやすくさせている要因か。
しかしちょっと気になったのが、昔を語る回想のような構成ということ。ドラマ的構成ですがあまり意味がなかったような。
原作:野島伸司 / 漫画:タアモ
ベツコミフラワーコミックス全2巻 / 小学館
ジャンル:少女・ドラマ / 好み度:★★★☆☆