インターネットのアングラには、依頼者から提示された依頼料を基準に最も安価な値段を提示したものがその殺人依頼を受けるという逆オークションのサイトが存在する。二束三文でコロシを請け負う彼らは卑しい闇の住人「職業・殺し屋」
「職業・殺し屋」とは殺人請負の闇サイトの名であり、逆オークションによって殺人を行う殺し屋を指す。殺し屋たちは各々一般社会に見せる表の顔と、偏執的なこだわりを持って殺人に快楽を見出す裏の顔を持つ。簡単に言うと現代版必殺仕事人というところか。
初見では生理的に難かもと感じ、ただ強烈な画面に圧倒されるしかなかったのですが、じっくり読んでみると案外深い話でした。
シリアスなシーンでは劇画っぽい荒々しい線とアニメ調なフォルムが混合した不思議な絵柄。シリアスではキャラの顔はシュッっとした造詣なのに、コメディシーンではやたらまるっぽくてアニメ調のきっちりした線画の可愛い絵柄(デフォルメしているからなんだろうけど)。
男性向き性描写は濃いわ戦闘や暴力シーンはえげつないわで目をそむけたくなるシーンも多々あるわけですが、話の根幹が仕事人様式だからか、泥沼の中でも一筋の光を見せる著者の姿勢があるからか、後味の悪いエピソードは少ないところがいいところ。SFだったり格闘大会だったりと設定がぶっとんでるのがあるのも特徴か。
残虐シーンが多いですが特異性に頼り切らず、人間ドラマの方もきっちり描かれています。依頼人のドラマはもとより殺し屋たちの過去と現在のドラマも魅了される内容かと。矜持、安らぎ、葛藤、絶望、快楽といった感情が雄叫びのごとく熱く描写されています。劇画っぽい演出なんですが劇画っぽく感じないところが好みだったり。殺し屋たちの殺人方法のこだわりっぷりも印象深いかな。
続編として新 職業・殺し屋。斬 ZANも発表されています。
西川秀明
職業・殺し屋 / ジェッツコミックス全15巻 / 白泉社
新 職業・殺し屋。斬 ZAN/ ジェッツコミックス全5巻 / 白泉社
ジャンル:青年・ダークアクション / 好み度:★★★★☆
15巻で一応第一部完結とのこと。