かつて海上交易で栄えた地方の港町は、刑期を終えた前科のある人間を地域住民にそれをしらぜずに移住させる極秘プロジェクトの試行現場となる。元受刑者と事実を知るごく限られた人物たちと事実を知らない住民たちが織り成す物語。
舞台設定だけを見ると、進め具合によっては人間の善性を重点においた感動的な話になりそうでもあるが、人物描写、舞台描写ともに冒頭から静かで不穏な雰囲気で、ネガティブな方向で何か起こるかもしれない空気満々で始まる話。
元受刑者の言動、秘密を知る数人の人物の描写、そして近隣住民の行動。日常に存在する人間の清濁まじった心理と行動が描かれていくんだろうなと思わせる雰囲気に引き込まれます。原作未読なので話がどう転ぶのか気になる構成。
枠から外れた人間は再び枠に嵌れるか、周囲が彼らを受け入れられるかってのが主題なのかなあ。その辺は底が浅い人間なのでただ展開を追うだけで結局よくわからないまま読み終わりそう。作画担当の描くリアルな人物描写は内容にあっているなと感じます。
そういえば原作の人ってがきデカの人なんですね。幼少のころ少し読んだことがあるのですが、アクが強すぎて断念したっけ。いまなら読んでもわかるかな・・?
原作:山上たつひこ / 漫画:いがらしみきお
イブニングKC全5巻 /講談社
ジャンル:青年・ドラマ / 好み度:★★★☆☆