仕事漬けのプログラマーの青年は、入ったばかりのアルバイトの青年にとある木造住宅に住む来る者を拒まない女性の話を聞かされる。彼はその帰り道に件の家を見つける。
主人公の青年は(多分)プログラマーかSE。明らかな過労働状態だが本人の疲労は無自覚。そんな彼に新米バイトの青年が出入り口をすべて開放した木造家屋に住む来る者を拒まない女性の話をする。バイトの青年の口調は悪意があるというか含みがあるというか不快な印象で、主人公は興味を持たなかったが、帰り際にバイトの言った家屋を見つける。
仕事を離れて疲労を感じたところに家屋があってふらりと入ってしまう。弱っているときなどにひょっこりとった選択で何かしらの深みにはまるという展開は、詐欺のひっかかりにちょっと似ている気がする。
その家屋には話に聞いていたとおりの虚ろな女性がおり、主人公はなんのかんのと関わりを持ちゆっくりと堕ちていく。そして彼は彼女の家に住むことを決めるのだが・・。
やじろべえのようにゆらゆらと揺れるような不安定さとか生々しい悪意とかがじっくりと描写されている。不明瞭さと不穏な雰囲気を十二分に堪能出来る著者の作風にはいろんな意味で衝撃を受ける。
こちらも同人誌発祥作品で続きを商業誌で発表したタイトルだそうだ。1巻目はほぼ同人誌で発表されたもので以後商業雑誌掲載分が収録されるそう。紙本の表紙装丁は主題と題名によく似合っている。
シギサワカヤ
楽園コミックス全3巻 / 白泉社
ジャンル:女性・ドラマ / 好み度:★★★☆☆
ほんとに余談だが設定はなんとなく昭和エロスを思い出す。もちろんあの特有のねっとり感というか泥臭さというかはないのだけど。