ツミツキとは罪憑き。人間の罪悪感から生じ、大きくなるとその人間は人外の化け物となる。ツミツキを食らう少年とツミツキに囚われた人間の物語。
4話の連作でそこはかとなく話が繋がる構成。主格はツミツキに関わる人間であり少年は狂言回し。少年はツミツキを食らうゆえツミツキの生成を回避できる状況でもツミツキをつくるように根回しするという悪魔的立ち位置。作中でその立ち位置はちょっと変化、最後に少年の過去話で〆られています。
いわゆるオカルトであり、民話のようなある種の教訓を含んだ生々しい人間ドラマ。「罪」を犯した人間、ではなく「罪悪感」を持つ人間が鍵になっているところがこの物語の肝。物語の性質上救いのないラストばかりですが、鬱な気分になるというよりは、ちょっと足りなかったり届かなかったりしたときのやるせなさみたいなものを感じました。
著者が生死の境をさまよった経験があるとのことで生きるということにおいてのメッセージがこめられている模様。絵柄はシャープで読みやすくて好きだなあ。
清原紘
角川コミックスエース全1巻 / 角川書店
ジャンル:少年・ホラー・ドラマ / 好み度:★★★☆☆