王子と小鳥 山中ヒコ

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主人公は唯一の家族である祖父の借金を返すつもりげ競馬で大負け、サラ金に手を出し借金のカタに砂漠の国に売られる。いかにも悪役で強欲な第一王子の手に渡る直前第二王子に買われるというはじまり。
奴隷という理不尽さから何度も脱走を試みるが、無体な仕打ちは受けず肉体を求められることもなく、自分の立場を教えられ、第二王子やその下の幼い王子は第一王子に絶対服従という掟によって理不尽な思いをしていたことを知り、自分の人生を振り返りそのいい加減さに気づく。そして2人の王子と親密になり、第二王子への恋も自覚していくという展開。
当初言葉がわからずたどたどしい会話ややりとり、それに伴う心情の描写が萌えました。特に「じいさん」の誤解が可愛いというかなんというか。小さい王子にエロ用語を教える主人公・・おいおい(笑)といったコミカルなエピソードから、せつなくやるせないエピソードまで実にバランスが良い構成でした。ちょっと急ぎ足だった印象も否めませんが、BLシチュエーションとしては十二分に堪能できる内容でした。
ただ第一王子がらみの展開で、わかりづらかったところがありました。どういうことなんだろうとちょっと思うところがあっただけなんですがね。本筋とはあまり関係がないというか流しても問題ないのですが。
同時収録の短編「淋しさの値段」は掃除サービスのバイトくんが仕事先で高価な壺を割ってしまい所有者の青年社長に奴隷になるよう言われる話。社会的に成功していても情緒が欠落し人間的に残念な面がある可哀想な大人を見る主人公の視点がせつなく心に響きます。主人公が青年を唐突に理解したところで話が終わっており、なんとなく続きが読みたくなる話でした。

山中ヒコ
花音コミックスCitacita series全1巻 / 芳文社
ジャンル:ボーイズラブ / 好み度:★★★☆☆