悩む人間から生まれその人間に憑く「ツカレ」が見える養護教諭の青年は、相棒・ツカレを喰う妖怪「黒猫」とともに生徒たちの「ツカレ」の原因たる悩みを解決する。
主人公の青年は養護教諭。同僚の女性教諭からある女子生徒に関して相談を受けることからはじまる。主人公は悩んだりストレスを抱えた人間から生まれる「ツカレ」が見える霊視体質的な能力があり、他人のツカレを見ると自分の気分が滅入る体質でもある。そんな彼には「ツカレ」を喰う妖怪のような猫?が傍らにおり、ツカレを喰ってくれるゆえに主人公自身はその猫を相棒と呼ぶ。
主人公が問題解決のために動くのだが、その行動はどこかもたもたしていて少々まどろっこしい。悩み多き思春期の生徒たちが主格としてそれを前面に出していくのか主人公というキャラを前面に出しているのかわかりづらいどっちつかずな印象。主人公が周囲の人間の悩みを解決する理由は、自身が他者のツカレを見るのが不快だから、自身に憑いている?妖怪猫もツカレを喰ってくれるから共存関係を築いている・・と、なんとなく茫洋としているというかなんというか。自分が穏やかに過ごすことが第一で、そのために相談を受けるというかんじに見える。物語を展開するには少々キャラが弱い気がしないでもない。ある意味、この曖昧でごった煮な構成は、リアルな日常の流れなのかもしれないが。なんとなくレーベルカラーに沿っているようにも思える。
どろっとした半固形物の飲み込みづらさを彷彿とさせる内容だった。好みはともかく一辺倒でない著者の作風は出ていると思う。
夏本満
ビームコミックス全2巻 / エンターブレイン
ジャンル:青年・青春・オカルト / 好み度:★★★☆☆