グレイロマンス 楠田夏子

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別れのセレナーデ・甘い呪い・日常系演技派女優・眠れる銀河・エイリアンママ・colorfulを収録した薔薇色ではない恋愛模様を綴ったオムニバス作品集。
題名通り、といっていいのか、ちょっと辛いというか物憂げというか低空飛行な女性の恋愛模様や心情を描いた作品が多い。さほど長くない頁数の中に描かれる女性の心持ちはいろんな意味でリアルだった。
別れのセレナーデは、妻帯者で遠方に転勤が決まった同僚に、かつて自分が好きだったと告白される女性と、男性を秘かに思っていた男子の複雑な心情を描いた話。主人公は相手を友人としか見えてなかったけどその告白で気づく感情、ってところかな。なんというか男女のというか人間同士の恋愛と友情のラインの微妙さを感じる展開が秀逸。
甘い呪いは、好みの男子で恋愛妄想が楽しい女子が、その妄想の対象の一人に告白されその相手に対する気持ちの変化を描いた話。戸惑いから定番の展開にならずアカン方向にいってしまい、そこで初めて自分を知るみたいなかんじか。ちょっとしょっぱい体験から恋愛経験値を上げた展開でいいのか。
日常系演技派女優は、彼氏に不満があったり疑惑があったり決定的な場面を視ても心の中でもやっとしてても感情を荒ぶらない、表に出さない女性の話。物語自体は好きだけどこのヒロインはなんだかわらかんけど見ていて辛い;
眠れる銀河は50代バツイチ課長と30代女性の話。過去の出来事からいまだ未経験、箱入り娘のように扱われる。望まぬベクトルというか立ち位置になってる自分に悶々とするってかんじかなあ。いろいろ折り合いつけていってるみたいな。
エイリアンママは里帰り出産で実家にいる妊婦のお話。兄の子供の様子を見て、こどもに対して、あとちょっとで生まれてくる自分の子にすら尻込みしてしまう話。完全な正解はあるのかないのかわからんけど探し続けていくということか。
colorfulは、思い人がいる人間に恋する女子の話。好きな相手がいるキラキラした人間に惹かれるということか?転校が決まった美しい女友達の、別れる間際に彼女の自分に対する気持ちを知った女子の感情の描写はインパクトがあった。
複雑微妙なヒロインの心の動きはなんとなく共感というかわかる、と感じるけど、うまく言語化できないorz。どの話もあさっての方向的な説明なんで本編を読んでください・・。微妙な女性の心情の描写は絶品です。

楠田夏子
KCデラックス Kiss全1巻 / 講談社
ジャンル:女性・ドラマ・恋愛 / 好み度:★★★☆☆