鞄図書館 芳崎せいむ

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世界中のあらゆる本が詰まっている意思を持つ鞄と共に旅行く男性。鞄は図書館であり男性は司書。本とそれにまつわる人の想いを描いたファンタジー。
鞄を持つ豊かな口髭が特徴の初老の男性。鞄はその中にあらゆる本を詰めた図書館であり、男性はお客の要望する書物を鞄から取り出し貸し出す司書。ちなみに鞄は意思を持っていてしゃべります。彼らの会話はいい感じに枯れてて(笑)雰囲気がさりげにツボ。
西欧の童話のような雰囲気と設定、鞄と男性を主人公にした短編を連ねた構成が特徴。緻密で繊細な絵柄も物語にぴったりですね。鞄と男性は主役というより、各々のエピソードでフューチャーされる書物とその書物に思い入れがある人間のドラマを語る狂言回しに近い役どころかなあ。本は実際に存在するタイトルがほとんど。たまに話の都合上架空の書物も出てきますが。
作品の中に漂う雰囲気がかなり好み。静かというかまさに「物語」を見ている感覚になれるというか。うまく表現できない;;本が好きで童話な雰囲気を楽しみたい人にはお勧めのタイトルかと。

芳崎せいむ / 東京創元社1~
ジャンル:青年・ファンタジー / 好み度:★★★★★