題名の寿司ガールとは、表紙絵で見るようにお寿司のネタを頭に乗せた小人サイズの女性を指す。人生に行き詰った女性と寿司ガールが出会い、彼女たちの小さな交流を通して人生模様を描く内容で、1話完結、各話に登場する女性と寿司ガールも異なるオムニパス形式。
女性と寿司ガールという縛りはあるがそのエピソードや話の内容はけっこう多彩。寿司ガールとの出会いでいい方向に変わった女性もいれば悪い意味で変わった女性もいたり、辛い人生だったかもだが心の安寧は得られただろうかという話、大人の女性のみならず幼い少女のおもうところの話とか本当にいろいろさまざま。
女性の人生描写は身につまされるものもあるが、全体的に淡々とした作風に加え寿司ガールのキャラもあいまって鬱鬱しくはないところが良い。何より話の組み方が巧みで、物語に入り込んでしまう。
寿司ガールって何ぞや、と読み手の興味を引き、内容はさりげなさの中にしっかりと印象に残るという秀逸なタイトルでした。
安田弘之
BUNCHコミックス全3巻 / 新潮社
ジャンル:青年・ドラマ / 好み度:★★★★★