思春期の少年少女をはじめとしたままならない日常を描いたオムニパスショート作品群。
痛いとか変わり者と評されそうな気質だったり不器用だったり溶け込めなかったり個性が強すぎたり、な主人公と周囲のとる日常的な話とか、どこにでもありそうな女子同士の交流の話とか。
せつない話、ホラー系話、変り種青春群像、さまざまな思春期の友情・恋愛ものなどなど、ジャンル的にはかなり多彩なものの、その話の雰囲気が動的でも静的でも奇妙なテンションで展開されているところが印象深いです。読者層を鑑みてか描きやすいのか思春期の少女が主人公の話が多かったけれど社会人や男子が主人公の話もわりとありました。
突飛な行動を起こす人間がその脳内でかなりの葛藤やら思考がぐるぐる回ってるという描写とか、現状を鑑みてのモノローグがやったら長くて悶々と考えてるシーンとか、コミュニケーション経験値不足からくる食い違いとか、なんというか少なからず共感する部分もあり悶絶してしまう。
ハッピーエンドもあれば鬱なラストもあったり、物語としては好き嫌い、面白いのとそうでない話の差が極端だったかな。ショートショートの構成としては秀逸だなと感じるものが多かったです。構成で一番印象的だったのは各々身内の情報を知人に虚言をする姉と弟の話でした。
阿部共実
少年チャンピオンコミックス全5巻 / 秋田書店
ジャンル:少年・ショートドラマ / 好み度:★★★★☆
週間雑誌連載、コミックスが新書版でこういう体裁と内容ってすごく新鮮。こういう話はたいていA5でやたら高くなるというイメージがあって・・とどうでもいいことを考えてしまった。<