都の生活対策課の依頼で死者の魂をこの世に呼び戻す口寄屋とSM嬢の二足草鞋を履くミサキさんの物語。
原作者・奥瀬サキの作品「低俗霊狩り」のコンセプトを受け継いだシリーズ。共通するところは、本業の霊関係の仕事では食べていけないので風俗系のバイトをしている、美人だけど身体的コンプレックスがあるという主人公の設定と、フォロー役の男性がいるというところでしょうか。
物語の構成がとにかく緻密でところどころに張り巡らされた伏線がすべて無駄なくつながっているようです。人が人であるために生まれる欲望、捩れた感情の吐露、死者の無念と虚無、社会の暗部といったものを静かに、けれど青白い焔のような熱さもって描写された作品です。
作画担当の目黒三吉さんって初めて見る人ですが、巻を重ねるごとに表現力も画力も格段に上がっているのがすごいです。主人公が霊を見るときの描写はリアリティがあるなあと思いました。いや実際霊を見たことがないのでこの言い方は変なのですが、ああ、見える人にはこんな感じで見えてるのかと感じたというべきか。それにしても私は奥瀬作品で風俗知識を増やしているような気がします...。
原作・奥瀬サキ / 漫画:目黒三吉
角川コミックスエース/全10巻/角川書店
ジャンル:オカルト・ダークアクション / 好み度:★★★★☆