隣国同士で緊張状態が続く土地。運び屋の青年は「六の国」の女王から、「四の国」に嫁ぐ姫とその護衛を「四の国」に送り届けるよう依頼される。
戦国時代のそれのように人質という意味あいで互いに婚姻を結んできた隣接する複数の国。
主人公が運ぶ「四の国」に嫁ぐ姫は、幼少の頃二の国に嫁ぎ奴隷扱いされていた経緯を持つ。一方護衛の人間は口が聞けないしどこか浮世離れしている。囮の花嫁行列とは別に主人公の運びやはこの2人を運ぶという展開。
ファンタジー設定のシリアスラブストーリー・・かな。古い因習に身を置きその拘束から脱却する話というべきか。それは姫側だけでなく、主人公の運び屋にもあてはまります。実はこうでした、という展開もありますが、まあ読んでいると途中でわかります。
言動や身にまとう空気は淡々と静謐な印象、でも実はとてつもない熱情が内包されているというのが著者のカラー。陳腐に感じない台詞回しや演出が好きなんですよね。ありきたりな悲劇系ヒロインと勇者じゃないってあたりがツボ。なんのかんのとたくましくしたたかに生きていけそうな二人に祝福を。
藤田貴美
バーズコミックスデラックス全1巻 / 幻冬舎
ジャンル:青年・ドラマ / 好み度:★★★★☆