20世紀初頭・東京。古道具屋の学生主人の青年の元に持ち込まれる不可思議な道具・器物をめぐる、あちらとこちらの境のアメージングストーリー。
主人公は父親のかわりに古道具屋を営む大学生の青年。主人公というより物語の語り手といったほうが近いかもしれませんが。珍しい器物を好み、ミステリアスな雰囲気を持っていますが総てを把握するテラーというわけでもない主人公のキャラが個人的にツボだったり。
青年が懇意にしている作家をはじめとした知人、道具屋の客などが持ち込む、死者の世界に関わる古道具屋美術品を通して語られる不思議話。
物に何かが宿りそれによって起こる現象と込められたの想いを描くという形式は珍しいものではないですが、著者の描く静謐な雰囲気にはやはり惹きこまれる魅力があります。
おおむね器物に焦点をあてた一話完結形式に近い構成ですが、主人公と彼のメイド、そして父親にはいわくがありそうな設定と伏線があり、そのあたりも興味深いところ。
片山愁
ゼロサムコミックス全3巻 / 一迅社
ジャンル:少女・アメージングストーリー / 好み度:★★★★★