カルバニア物語 TONO

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中世風味の架空の国カルバニア王国を舞台に、王国初の女王に就いたタニア、男勝りの女公爵エキュー等を中心にした王室ヒューマンコメディ。
設定こそ中世ファンタジーの趣がありますが、日本の現実社会でも多々見られる事柄がテーマになっていて、話の内容地に足のついたものになっています。登場人物たちはヒーローやヒロインではなく、悩んだり恋をしたり、トラブルに対処したり、日常を懸命に生きる普通の人間なのです。
ぱっと見ではどうしようもない、愚行しかやらない人物も実はその人なりに考えがあるという展開や、年寄りと若者の衝突といったテーマが多いですね。もちろん恋愛の話もあります。伝統を重んじることは良いことなんですがそれにしばられていると発展が望めないこともある。時代の流れとともによりよい方向へ進めるための努力と行動は必要なことだということを実感させられます(従来の道を進みたいという人を否定することではないのですが)。
大元のテーマは結構深刻なものが多いのですが気が重くなることはなく軽快に読み進められる、だけど問題提起はしっかりと心に刻まれる構成は見事というしかありません。読後感も良。
世界設定上、ドレスを着た女性が多く出てきますがこれが中々印象に残るデザインが多いです。作品の間になにげに描かれているカットからもセンスの高さが伺えます。

TONO
キャラコミックス1~巻 / 徳間書店
ジャンル:少女・ドラマ・コメディ / 好み度:★★★★★/おすすめ