妻が早逝し幼い娘と暮らす男性教諭。娘の食事をはじめとした世話と仕事に追われる日々だがなんとかやっている。しかし教諭は料理が苦手で小食で味音痴。そんなとき娘と花見にやってきたときに偶然半泣きで豪華な弁当を食べる教え子の女子と出会う。教え子の母の店の名刺を渡されていた教諭は娘に おいしいごはんを食べさせたいと件の店に向かうが店はお休み。そこには花見で逢った教え子がいた。残念がる教諭に教え子はいっしょに料理を作ろうと提案する。
教え子の母は料理研究家としてメディアに露出しており多忙で店は休みがち、という背景から店の厨房で定期的にごはんを作るイベントがはじまるという展開。母の代わりに自分が店を存続させたいと思っていて料理の知識やセンスはあるが過去のトラウマから包丁は握れない教え子の女子と、料理下手・味音痴だがおいしいものを娘に食べさせたいという教諭の共同作業による食事を軸に、双方の家族やその周辺のドラマも展開される。ドラマ、というほど大仰な展開はなく家族の中ではわりとよくある等身大のもしくはリアリティのある問題が主題の場合が多くそれゆえに自然に染みわたるエピソードが多い。
幼い娘の「おいしい顔」がとても良い。可愛く明るく素直な描写には魅了される。思ったことを大人にわかるように告げられる幼女はフィクションだよなと思わなくもないけど(笑)。あとほんのりと教え子が教諭に好意を抱いていると匂わせるシーンがさりげなく重ねられているが、恋愛半分父親にたいする好意半分といったかんじかな?
リアルではわりとめんどくさい要素が出てきそうな背景ではあるがそのあたりのややこしさはあっさり流して主題に専念できて読みやすいのも好印象の1つ。
著者の人間描写はせつなくてじわわっとくるけど後から必ずほんわかと気持ちが温かくなるところが良いのです。
雨隠ギド
good AFTERNOON KC全12巻 / 講談社
ジャンル:青年・ドラマ・料理 / 好み度:★★★★★