14歳の少年医師多吉くんとゆかいな家族と患者と看護婦さんたちの不条理コメディ。
やたら詳しい医療用語とかエピソードがまたブラックさをかもし出しています。主人公の多吉くんは天才で名医。医療に対する情熱は並ではありませんがやっぱりちょっと普通じゃないという設定です。動物の絵を描かせたら料理の絵をかき、家の絵を描かせたらマンションの間取りを描くという、多吉の「子供らしい情緒の欠落」を現したエピソードは上手いと思いました。といっても初恋の幼稚園の先生を思い続ける男の子の面も持っています。その行動はかなり屈折していますが。脇キャラたちも主人公に負けず劣らず個性豊かで面白いです。常識人の甥っ子さんは苦労しっぱなしですが(笑)
14歳の医者、というのは現代の日本ではありえない(もっとも他の国でもそうそうないと思いますが)。他の国では能力さえあれば飛び級制度があるのに日本の場合は否が応でも年数分の教育期間を強制してしまう。多吉の設定は、なんとなく全体の水準は上がるけれど優れた人材が育ちにくい、日本の教育制度を風刺しているような気がしてなりません(気にしすぎか)。
TONO
ソノラマコミックス全3巻/朝日ソノラマ
ジャンル:少女・コメディ他/好み度:★★★★★