母を殺した王への復讐のみを望み突き進む少年ハリとそれに協力するキシュとクリールの物語。
雑誌掲載から単行本化までかなり時間が空いた作品です。ハリの心理描写が少なく、キシュたちの描写が多いのが印象に残っています。キシュとクリールは生きていくために捨てなければならないものを捨てた「大人」、ハリはそれが捨てられなかった「子ども」であり、ハリが彼らの過去の象徴であるということを表現するためでしょうか。キシュとクリールに共感を覚え、ハリの刹那性には一種のあこがれを感じました(殺人云々という行為ではなく、自分の一番望む方向へとためらいなく進むということにです。念のため)。
他に別の作品が2作収録されていますが作者の絵柄の変移が見られます。個人的に、絵柄は昔の方が好みかも。
那州雪絵
ジェッツ・コミックス全1巻/白泉社
ジャンル:少女・ファンタジー/好み度:★★★★★
同時収録作品:満月ドライビン'/水妖物語