あらゆる時代にあらゆる場所に存在する永い時を生きる少年。彼が出会った様々な人間のドラマを描いた物語。
人間の営みを客観的に見るキャラをつくりその視点から人間ドラマを描く手法。ゆえに各々のエピソードに登場するいろんな状況や年齢の人間たちが主人公であり、少年はその人間の人生を見つめ語り思う狂言回しの役割。
少年はおそらくは「人間」ではなく、出会った人間の行動や心情を観察し人間とは何かという命題を探り続ける存在のようです。なので高みの見物の場合もあればかなりその人間に移入することもあり。
時々涙がこぼれそうになることもあるほどとことん突き詰めたリアリティのあるドラマ展開。中だるみせず各々のエピソードを堪能できるちょうどいい尺なのもいいですね。少年は万能ですが上から目線だけでなく疑問や憤りも感じるところにある種共感めいたものを読み手に持たせる効果がある気がします。
べったべたじゃない、でも真っ向勝負の人間ドラマが読みたい人向け。秀作というのはこういうタイトルをいうんだろうな。
山下和美
モーニングKC１～ / 講談社
ジャンル：青年・ドラマ / 好み度：★★★★★