人智を超えた強い力を持つ魔法使いが存在する世界。若き王ツヴァスの国は、かつては強大だったが現在は勢力が衰え強国に包囲されている状況。彼は、隣国との関係で優位にたつため、人との交流を避け塔にこもっているという魔法使いに会いにいくが・・。
状況いかんでは殺そうとまで思っていた王だったが、当の魔法使いはかなり弱っており気がそがれてしまう。弱った魔法使いの望みを聞いてやる穏やかというか平和的というか生真面目な王に、力を取り戻した魔法使いは自分を使えと進言するという展開。
説明が下手ですいません・・。地味だけど堅実な構成のファンタジー伝記。絵柄も内容も西欧の作品の雰囲気が強いかなあ。
人道的な王と、感情が薄くロジックな思考展開の魔法使いのやりとりや、主人公の国の状況と周囲との関係、人間関係・国同士の駆け引きや状況の見定めなど、ファンタジー戦記というより大河系の人間ドラマ・政治ドラマといった感じ。話運びが正統派というか古典というか。どこか懐かしい雰囲気がするんですよねー。
当初はともかく知るほどに偏見も恐れも失せ人間として魔法使いを見る主人公に力を貸す魔法使い、魔法使いを使うことができるとはいえそれに頼りきらない主人公。感情を抜きにした超合理的な発言をする魔法使いとそれに戸惑う主人公。2人の関係が特に興味深かったです。
巻末の主人公の国の文化や風俗などのコラムがまた本格的だなあと感じたり。
坂田靖子
ASAHIコミックス全4巻 / 朝日新聞社
ジャンル:少女・ファンタジー / 好み度:★★★★☆