砂漠化による食糧供給困難などから分裂し戦争状態にある近未来の日本。思春期の少女に寄生する突然変異の植物が存在し、寄生された少女たちは恋する心を燃料に多大な力を発揮する。寄生された少女と少女が恋する相手である軍人のバディ物語。
主人公の1人である茫洋と生きる軍人の青年は、軍の厨房で働く少女と出会う。青年と少女のささやかな交流の後、その少女は突然変異の植物に寄生され頭部あたりに花が咲く「花の少女」であり、ある状況から青年は少女の「恋する相手」となり、少女と共に特殊部隊に配属される。
「花の少女」は恋する気持ちを原動力に戦闘において大きな力を発揮できるが体に咲く花が咲き切ってしまえば死んでしまうという設定。花の少女を当初知らない青年とつたないながらも自分の運命を知り生きる少女のシリアスストーリー。
可愛らしい絵柄ゆえに悲壮さは少ないもののやはり不治の病系の話に見られる雰囲気が多分にある内容。主人公バディのみならず、部隊内の他の様々なバディのかたちを静謐に描いていく模様。置かれた状況において思うところを明確に告げるキャラたちの描写は印象的です。
他作品を挙げるのもアレですがガンスリンガーガールを思い出します。こちらは1巻の段階で少女たちの寿命が尽きる兆候が明確なためラストがほぼ予想できるだけに先に読み進められるか否かは読み手次第かな。個人的には物語の流れ自体が苦手な部類ではありますが、人物描写などは自然に心に染みる作風だと感じました。
岬下部せすな
アクションコミックス全4巻 / 双葉社
ジャンル:青年・ドラマ / 好み度:★★★☆☆