平凡な青年は幼少のころ住んでいた中華街で暮らすことに決め両親の知人男性のところに下宿・男性が経営するレンタルビデオの仕事に就く。その流れで同居することになった15歳の美少女・芽衣と出会う彼女はマフィアに属する殺し屋だった。
青年は少女を恐れつつも彼女を守りたいと願うようになり、少女もまた自分の周囲にはいなかった穏やかな気質を持つ青年になついていくのだが・・・。
ある種のボーイミーツガールなのだが少女とその仲間は組織に属しているという背景が背景だけにかなりシビアな展開が待っている模様。あと青年の両親も闇社会の人間てのが暗に示されていてなんらかの伏線になるのかならないのか。
少女は生きるために淡々と殺し自分の気持ちを包み隠さず発言し、青年に対する気持ちのその素直さは年相応のこどもらしさがある。それゆえに青年に傾倒すれば揺らぎが生じるってのは定番の展開かな。青年はごく普通の生活を生きたいわゆる光の世界における倫理観で持って少女と接するが決して成人ではないごく普通の人間ゆえに自分の身の危険や精神がストレスを受ければ、物語においては小物というか下種な行動をとってしまうあたりがリアル。このあたりはしょうがない反応なんだけどもちょっともやっとしちゃうんだなあ。
著者の話はどのジャンルでもある種のやるせない世知辛さみたいなものを感じる展開が多いがこちらもそんな感じだった。でも物語が厭だとは感じない、ある程度のオチは予想できるものの続きが気になる話なんですよね。どの登場人物も大仰な描写でなくじわりと静かに変わっていく過程が見所なのかも。
板倉梓
アクションコミックス全4巻 / 双葉社
ジャンル:青年・クライムサスペンス / 好み度:★★★★☆