不能犯 神崎裕也 / 原著:宮月新

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相手に「思い込み」を強くさせることにより死に至らしめる能力を持つ男性・宇相吹正。彼は憎悪・嫉妬など様々な理由で殺人を依頼する人間に応え対象をその能力で殺し、彼の犯行を実証できない故に逮捕もできない容疑者「不能犯」である。
人間心理操作に長けている青年が、人間の愚かさを見るのが楽しみで依頼を受けているってかんじ。因殺された側はもちろん、依頼した側ももれなく破滅ルート直行ってのがミソ。主題的にも全体的にエグい展開が多いのだが、たいていは因果応報だったり自業自得だったりするので後味が悪い、というのは少ない方かなと。わりと凝ったどんでん返し展開が多かったようにも思う。一話完結形式なのも読みやすくて好み。
他者に対し殺意を覚えた人間の望みを叶える、ってのはサスペンスジャンルにはわりとよく見られる王道な設定だけど、味付け次第で興味をそそるか否か変わってくるもんだなあ。主人公の能力が、ファンタジーな設定寄りではなく、創作だとしてもそれなりにリアリティがあると感じた。しかし時々出てくる主人公のギャグのような所作は個人的にはちょい微妙(笑)味はあるんだけどね。
主人公を追いかける、主人公の能力が効かない?裏表の少ないまっすぐで若干熱血気質の刑事のキャラの配置や構成など、秀逸だと思う。

漫画:神崎裕也 原著:宮月新
ヤングジャンプコミックス1~ / 集英社
ジャンル:青年・サスペンス / 好み度:★★★★☆