イラストレーターを目指し上京した青年は家賃の安さから妻沼田市に居を構えようとした。しかしそこは街おこしにストリートファイトを制度化・推奨する格闘の街だった。そして青年は謎のメイド姿の女性と出会い半ば口車に乗せられるように彼女に導かれ、わけもわからず格闘技の世界に足を踏み入れることとなる。
格闘推奨の街ということでファイトに勝てば街での優遇条件があがり、かつ技を磨くにあたり実戦が体験できるという、日常生活の中で格闘に没頭しても無理がない設定が秀逸。
謎のメイドさんは格闘技の流派の使い手。彼女は自分の流派の継承者を探しており、主人公に白刃の矢がたち、メイドさんが主人公の生活の世話をするとともに彼女の持てる格闘の技を教えていくという展開。なぜ素人の主人公に、という疑問はあるんですが、まあおいおいわかってくるのかな。
細かい設定や展開には少々ご都合主義的なものも感じざるを得ませんが、主題とは関係のないところに手間をかけないためと見るならば納得できます。
格闘技術描写は少々誇張があるものの堅実かつリアリティのある内容。意味不明の必殺技とか少ない気がする。
素人を格闘家にするという主題だからか、格闘に効率のよい体づくりや力の使い方のレクチャーエピソードが多いのも特徴か。歪んだ体を正す、健康な肉体を維持するといった、日常でもつかえるネタも多く、有用な内容が個人的に魅力だったり。
主人公の身内やライバルといった、静と動さまざまなキャラクターがバランスよく配置され物語の役割を担っている秀作。青年向けなノリというか雰囲気が苦手でなければお勧めのタイトル。
それにしてもメイドさんの風貌、なんて綾波さんと思ったのは・・気のせいですよね・・。多分。
上山道郎
ヤングキングコミックス全20巻 / 少年画報社
ジャンル:青年・格闘 / 好み度:★★★★★