幼少時に両親を殺害されたショックからそのショックから当時の記憶と声を失った少女・紫音を中心に将棋の勝負の世界と彼女の事件の真実の追求が展開される将棋ドラマ。
両親を失くし当時の記憶を失くし声を失くすも素直で明るい性格の主人公。彼女の両親が棋士であり引き取り先の安岡も棋士、彼女にも才能があるというバックボーンのもと、彼女は棋士の道を進む。
基本的に女流棋士にスポットを当てた将棋ドラマですが、主人公が棋士の道を進んだことから迷宮入りした主人公の両親殺害の真相も徐々に解明されていくというサスペンスミステリの要素も含まれています。原作者による作中の勝負の解説つき。
生粋の将棋ドラマを楽しみたい人にはこのサスペンス要素は蛇足かもしれませんが、私のように将棋の世界に疎い読み手には良い構成だと思います。
主人公にとって棋士のライバル的存在と事件の真相にからむ人物たちが入り乱れ、なかなか読み応えのある内容となっています。サスペンス要素はおざなりでなく中々読み応えがあったし、人間関係描写も大げさでなく妙なリアル感を彷彿とさせる絶妙な空気が好きでした。
業界での女流棋士の立ち位置や現状の描写も興味深かったです。やっぱり体験がもと・・なのかなあ。
あといろんな意味で際立ったのがお金を稼ぐために女性に化けて打つ青年でした。すいません、やっぱりこういうの好きなもので(笑)
原作:かとりまさる / 作画:安藤慈朗
アフタヌーンKC全8巻 / 講談社
ジャンル:青年・将棋・ミステリドラマ / 好み度:★★★★☆