ピグマリオ 和田慎二

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神や魔が存在する神話時代の物語。10歳になったルーン国の王子・クルトは、石にされた母親を取り戻すため、悪神エルゾの娘・メデューサを倒す旅に出る......。
ギリシャ神話あたりを連想させる世界観。母親と自分の国の人間のために悪神を倒すという単純な物語かと思いきや、複雑なからくりが含まれていて物語にからめられた数多くの伏線が見事でした。少年の旅を通した成長の描写から様々なメッセージが感じ取れます。
はじめの3巻はかなりハードな内容でした。死人がバンバン出るし、人同士の確執とか欲望とかがリアルに描かれていて救いようがないなあと感じるものもあったり。4巻以降は若干ゆるやかになったような印象を受けました。悲劇な話もありますが後味の悪さは感じられません。
この作品、主人公たちの設定やメインストーリーはいうに及ばず、閑話休題なエピソードに至るまで古今東西の様々な逸話、神話、昔話等をモチーフに作られています。元ネタを探してみるのも一興かと。余談ですが、読んだ当時は4巻から登場するオリエ(小)の占い師バージョンのデザインがかなりツボでした。髪型が特に好きだったなあ。

和田慎二
MFコミックスフラッパーシリーズ/全12巻/メディアファクトリー
ジャンル:神話ファンタジー・アクション / 好み度:★★★★★