極端に存在感の薄い少年は、人々が関心を示さなくなった空に浮かぶ巨大な蜘蛛の巣からひっそりと降りてくる、人を食うものと対峙することになる。
主人公は気配がなく他者に気づかれにくい存在感の薄さを持つ少年。少年の住む町の上空には巨大な蜘蛛の巣のようなものが覆っていた。はじめのうちは話題になるも現在は人々は関心を持たなくなる。しかし少年はその蜘蛛の巣から人間を食う異形のものがやってくることを知っていた。そんな少年に人間を守るため戦おうと、人間ではない青年?が持ちかける。
異形のモノは宇宙人。その存在感の薄さから敵に知られず近づける主人公に目をつけた別の宇宙人が彼らと戦うよう促す。人間を食べる宇宙人が主人公の想い人であるクラスメイトの女の子に危害を加えないようにと戦うことを決めるという展開。スプラッタアクションであり宇宙人に関する謎にからむミステリ要素もあり、でも物語の根幹は青春ドラマという感じ。主人公の想い人に対する恋慕と行動とか、その宇宙人も元は宇宙人に憑依された人間であるとわかったときの葛藤とか、現実味のない設定ですがキャラの心理描写はけっこうリアリティがあるなあと。
大多数の人間が意識しない脅威というほの暗くシュールなスプラッタホラーの雰囲気。そしてその空気をいい意味で活かされている絵柄が特徴。いろんな伏線が張られているようで読み応えを感じる、また続きが読みたくなるタイトル。
幕間にあるおまけ漫画はシュールすぎる・・。
阿部洋一
講談社コミックス全3巻 / 講談社
ジャンル:少年・スプラッタアクション・青春ドラマ / 好み度:★★★★☆