お客様は仏様です。現世とあの世の境目に存在し、死人が手続きをしどちらの先に行くかを手続きする「死役所」を舞台にしたヒューマンドラマ。
話の語り手のメインは役所の総合案内係を担う笑みが張り付いた眼鏡の男性。むろん他の所員も登場するのだが。ちなみに役所の職員になっている人たちはある基準があるようで、物語の終わりあたりか伏線とかで職員たちにも焦点が当てられていくのかな。
物語の主格は、死んで役所にやってくる人たち。事故死・自殺・他者をかばっての死、虐待死・・・様々な年齢・性別・経緯を持つ人たち。それまでの環境や生前の思いを含めた当人の人生と、死に至った経緯と、死んでからの自身のこと残した人たちへの感情と、死者当人以外の客観的な現世の状況とで構成されている。
物語の設定上、やるせない話が多いのだが読後感は悪くない。寂寥感はものすごいけど一話の量が適度だし、読みたくないとは感じなかったので、物語の構成が秀逸なんだろうなと感じる。死者自身の視点と他者の視点のずれとか相違とかも見所かなあ。
死者は死んだときの状態でやってくるので、リアル系な絵柄ではないものの凄惨な事故死の場合は絵面的にきつい人がいるかも。
あずみきし
バンチコミックス1~ / 新潮社
ジャンル:青年・ドラマ / 好み度:★★★★☆