敗戦から1年あまり、焼け野原の東京で、酒浸りの暮らしをする川島は、復員したばかりのかつての戦友クロだと再会する。戦後の混乱期のアンダーワールドを描くヒューマングラフィックストーリー。
闇市で店の主人をやっているが店は他者に任せ覇気のない男性と、復員したばかりで金をだまし取られ文無しとなった朴訥な熊系男性。彼らはかつての戦友であり、ひょんなトラブルから再会するところから物語は動く。
主人公二人を含め、彼らの知人・友人たちの現在までの経緯、現状などが坦々と描かれていく。だまされたり、わかれたり、難儀なことを経験し、ずっと筒居て現在に至るも生きている。主人公ふたりの性格の相違がいい案配でバディものの雰囲気を出しているように思う。昭和後期あたりまではこのテの題材を描いた話はテレビドラマとかサスペンス系の話でもけっこうあったので様々な場面でああ、こういうのあったなあと思い出したりした話だった。混乱期の油断ならない状況描写とかエロスシーンでの生々しさとか。ノスタルジーってやつじゃないけど・・なんていうんだ;
絵柄は写実系、劇画ほどくどくなく繊細で無駄のない線と作画の質が高い。闇市や進駐軍施設など戦後混乱期の日常をさらりと、でもリアリティを感じる構成が素晴らしい。2巻は主人公ふたりの過去話、戦場が舞台のよう。
山田参助
ビームコミックス全7巻 / エンターブレイン
ジャンル:青年・ドラマ / 好み度:★★★☆☆