イタイほどかわいい 阿仁谷ユイジ

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阿仁谷ユイジ短編集 イタイほどかわいいをAmazonで見る

セカイ系マジックワード・こどな・ヒロイズム前線・みよ姉の藍色・巡恋歌・イタイほどかわいい・やさびきを収録した、リアルな女性の特質を前面に押し出した様々なタイプの恋愛模様を描いた短編集。
総じて、生々しく、もあけすけに、タイプ別の女性のイタい部分を的確に突いている印象を受ける。漫画的な演出も多々あるのだろうが、各話のヒロインって実際にいそう・・と思わせる描写が絶妙。実のところ、あとがきの著者の解説?が的確過ぎてなにも書くことがないんですわ(笑)女性のイタい気質はかえって愛おしい、と思う著者が描くからこそ、ヒロインたちの魅力が伝わってくるんだろうな。まあ(著者も書いているが)イタい部分を愛おしいと思えるのは他人事だからなんだけども。
セカイ系マジックワードは、自宅に帰り、外での鬱憤を幼児後退したかのような言動でパートナーで甘えて解消する女子の話。
こどなは、恋愛経験皆無の女性教諭が生徒とラブ関係になっちゃった話。処女をこじらせるとはこのことかと思うほどの入れ込みっぷりと生徒のしっかりっぷりにいい意味でも悪い意味でも唖然とした。
ヒロイズム前線は、かつて夢を見た女子と今でも夢を見る男子の話。女子の強かさと傷つく男子。こういうのをグダグダっていうのかね。
みよ姉の藍色は、となりの女性に迷惑を掛けられ続けても離れられない男子の話。嫌いだけど好き、という感情がいたたまれない。無自覚な加害者もしくは無意識の加害者?案外自覚はあるのかも。
巡恋歌・イタイほどかわいいは、初恋の相手であった男性は再会したときゲイになっていてしかも不倫相手の恋敵でした、という話から再び女子になった男性とのくされ縁の話へ。この2話がお話として一番面白かったかな。一見さばっとしてそうで実は結構真逆な女性と女子を満喫するおネエさん。お幸せに。
やさびきは、日本画家の青年と膠をはじめとした日本画道具の擬人化漫画。膠など日本画の蘊蓄がツボだった。
なんかBELOVEで新装版が出たみたい。

阿仁谷ユイジ
Fxコミックス全1巻 / 太田出版
ジャンル:青年・恋愛 / 好み度:★★★★★