ジゼル・アラン 笠井スイ

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20世紀初頭のヨーロッパ。あるアパートの大家を務める少女・ジゼルは店子の青年を助手がわりに「何でも屋」を開業する。
市井で暮らすお嬢様ジゼルの日常劇といったところか。
教養のつけっぷりとか物腰や雰囲気でいいとこのお嬢と推察できる10代の少女のような主人公。彼女が市井の大家をしているのは自ら望んでの社会勉強のようなかんじですが1巻の時点では詳しいことは語られず。
日常風景的ミステリな構成、さりげなくてリアルなのに魂が入ってるなあと思う人間描写、生活の中で出会うさまざまな出来事を端折ることなく、とにかく丁寧に描かれているなあという印象です。
ただ日常を描くでなく、「読み物」として魅せるけどきっちり地に足がついた、劇的までいかないけどメリハリのついたストーリー構成も魅力。
可愛くて理知的、頭の回転が良く知識も豊富、物怖じせず固定観念に囚われず好奇心旺盛、大人びてはいるけど少女らしい情緒も持つという思いっきりいろいろ詰め込んだ主人公のキャラ設定はツボだなあ。
主人公の機転で事件を解決だったり、主人公が知らなかった世界に浮き立つ話だったりといったほのぼのとした終わり方だけでなく、つらいけど乗り越えていくべき現実的な話もあったり。
今のところ、1つの依頼に絡むエピソードで1つの話という具合で、2巻以降は主人公の実家がらみでよりシリアスな話になりそうな。

笠井スイ
ビームコミックス5巻 / エンターブレイン
ジャンル:青年・ドラマ / 好み度:★★★★★

他の作家さんの作品を引き合いに出すのはアレですが、やはり森薫氏のエマがお好きな人にはストライクなタイトルだと思われ。つか万人に受けるタイトルって言っちゃっていいのかも。