双子のように似ている少女2人と彼女の世話役の青年。青年に少女たちの世話と監視をつける者は少女のどちらかはある村の生き神様だという。山奥の名家で発生した大量殺人事件とその村の生き神信仰の謎が絡むオカルトサスペンス。
るいとまなの2人の少女は山奥で祖母と暮らしていたが祖母が死んだあとすぐに誠という青年に東京に連れてこられ以来3人で住んでいる。少女たちは13年前の山奥の名家・雨夜家の大量殺人事件の生き残りで、見つけるのが遅れたが親戚筋の加々見家が彼女たちをひきとったという形に。それは実は表向きで、少女たちのどちらかは特殊な能力を有した「生き神さま」であり、どちらがそれかを見極め加々見家に神を復活させるという画策があった。世話役であり監視役である青年は2人の言動を報告する一方彼女たちに少なからず情が沸いたり加々見の長?の強硬な手段に戸惑ったり。少女のうち1人は生き神さまに関連する殺伐とした夢を見たり生き神の血筋を思わせる特殊能力を有していたり、もう一人の少女は少なからず状況を知っており自分たちの素性がばれないよう画策しているといった状況。
過去の出来事と現在の出来事の描写が交錯する構成。生き神さまの子孫の少女がいるようで、るいとまなのどちらが「生き神さま」なのか子孫の少女なのか、2人の状況はどう変化するのか危機に際しどちらがどの行動を起こしたのか、加々見家側の面々はどう動くか、などいろいろと謎と先の展開が気になる構成。
特に少女2人のバックボーンはどっちがどっちなのか、普通に考えればいいのかひねった伏線があるのか。続きが気になる内容である一方で基本設定の練りこみが甘いと思わざるを得ないところもあり。
生き神信仰、人をたやすく凪ぎ殺せる力といったオカルト・ホラー的で血生臭く昏く謎に満ちた雰囲気の話。著者特有の心情が読めない固まったキャラの表情はこういう話に向いてるなあと思ったり、日常の描写では砕けた脱力系コミカルなシーンもあるあたりやっぱり著者の話だなと思ったり。
ばかばかしく明るい作品が多い作家の新境地といったところか。
こいずみまり
アクションコミックスCOMICS HIGH'S BRAND全2巻 / 双葉社
ジャンル:青年・ホラーサスペンス / 好み度:★★★☆☆