遠い未来の地球。有機生命体は死滅した長い時間の後、無機物が結晶化し宝石の身体を持つ生命体が生まれた。宝石の身体を持つ28人は、彼らを装飾品にしようと襲いかかる月人に対抗するべく役割を分担し業務にいそしむ。
彼らの中で、月人と戦うことを望みつつなんの仕事も与えられなかったフォスは、上司から博物誌を編集する仕事を任される。役割が定まらなかった主人公が与えられた仕事に不満を感じていた中、自分とは違う理由で厄介者扱いされている人間と出会うことにより話が動いていく・・のかな。
童話に合いそうなデザイン性の高い絵柄と独特の世界観とか設定が特徴の著者。短編集だと読みやすいのだが、長編となるとその独自の設定を飲み込むのに少々時間がかかるかも。といっても一度把握すればその世界に引き込まれる。人物のやりとりはそんなに特異でもなくするりと入ってくる。肉体が鉱物であり、現実に見られる鉱物の特性が反映されている設定は興味深い。つまるところ宝石の擬人化?なのかの?
1巻ではだいたいの世界観と人物相関を兼ねた話が主なのでここからどう展開していくのか気になる構成。こういうSFだけど美しいものが主題のやつって往年の少女漫画系SFドラマを彷彿とさせる。
市川春子
アフタヌーンコミックス / 講談社
ジャンル:青年・SF / 好み度:★★★★☆