夏空に、きみと見た夢 平尾アウリ / 飯田雪子

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悠里を見つめる生前の天也と彼の友達・岸川との会話と天也が事故で命を失うプロローグから始まる。岸川は悠里に、天也の葬式に出るよう悠里に頼み込む。会った事もない人物の葬式に行きたくないという悠里だったが岸川もゆずらず結局葬式に出ることに。その後、悠里の周りには非通知の電話や視線を感じるといった奇妙な出来事が続くようになる。そして天也の幽霊が現れ・・。
前半は悠里の周りで起こったことに関するミステリ展開、後半は天也の霊と悠里との交流になるのかな。悠里はモテ系の少女ながら不誠実な恋人や亡き母を忘れ次の相手を見つける父親など、決して愛情に満たされているとは言いがたい現状。彼女の憤りの描写と、幽霊の天也が自分を本当に大切に思ってくれたことを知ったときの描写が印象的でした。
未分化ゆえに純粋な少年少女のせつない純愛ものといったところか。心を揺さぶる魅せる雰囲気と演出が秀逸。片方が死んでおりどう見繕っても2人に明るい未来は無い「刹那の恋」だからこそ盛り上がるんだろうな。巷にあふれる死を扱った純愛物語のように。物語自体よりも思春期の複雑な心情描写と静謐な雰囲気を堪能するタイプのタイトル。

原作:飯田雪子 / 漫画:平尾アウリ
フレックスコミックスフレア全2巻 / ソフトバンククリエイティブ
ジャンル:少女・恋愛 /好み度:★★★☆☆

下世話ですが、天也くんの生前の行動は一歩間違えるとアレな気もしたり。相手に迷惑をかけているか否かで大きく違いますけどね。昔の小説の中なら是非もなく純愛行動なんだけどね。