星の散歩 藤末さくら

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プレゼント・猫ぐらし・五丁目の夢屋敷・五丁目のおんなのこ・星の散歩・あの星を収録した短編集。
日常の中で失うもの得るもの。親しい人を失った人たちの心情をするりと描いた内容。
・プレゼント
彼氏と付き合って半年経つ21歳女性。自分の誕生日を忘れたことからその日は何度か彼氏からの携帯のコールをシカトした。ちょっとすねただけで本当に嫌いになったわけじゃない。しかし次の朝、そんな彼女の携帯に掛かってきたのは彼氏の姉からの彼氏の訃報だった。突然の恋人の死に対する主人公の心情描写がリアル。
・五丁目の夢屋敷
ちょっとした特殊な能力を持つ女性・晴花。周囲には手品ということにしていたが、ある日自宅にやってきた勤め先の園児に死んだ祖母に会いたいとねだられるが。病気で亡くした両親のこととあいまって思うことは。
・五丁目のおんなのこ
夢屋敷の続き。夢屋敷に登場した晴花と寺の息子の幼馴染の女性は、1年前夫を亡くし小さな息子と2人暮らし。墓参りの後彼らは久々の再会を果たす。そしてもうひとつ、中学のとき付き合っていた青年との再会も。幸せだった昔に戻りたいという気持ちが掠めたり、前に進まねばならない思ったりといった心情の描写が印象的。
・星の散歩
小学校のころ、学校からの帰り道に姉妹が見つけた小さな猫。妹は飼いたいと望むが動物嫌いの母には案の定反対される。自分と妹に対する母の接し方に不満を持つ姉は、猫を神社でこっそり飼うことにするが。
お姉ちゃん」ならではの幼少期の不満や心情と初めて生き物の死に直面した出来事。どちらも身近な出来事であるゆえに静かに心に染みる話。
話の終わりでは成長した姉妹と母の会話の場面が。大人になった主人公の幼少期の回顧録という構成というわけ。昔こんなことがあった、母親からの視点、妹からの視点は自分とは違うことはけっこう後になってからそうだったんだ~ってなるよね。母親と同じ年になり子を授かった主人公の素の心情が印象的でした。

藤末さくら
講談社コミックスBE・LOVE全1巻 / 講談社
ジャンル:女性 / 好み度:★★★☆☆