ネロ皇帝の治世のローマ艦隊の司令長官・風呂好きの変人・最高の知識人で博物誌の著者の博物学者プリニウスを描いた伝奇歴史物語。
世界史は不勉強なのでプリニウスがどういう人か全く知らなかったが肩書き?を見るに著者の好みドストライクな人だなあという勝手な想像を持ってしまった。それがあながち正しいと思わざるを得ないほど、プリニウス本人の描写が活き活きしていて、変人と呼ぶにふさわしい言動なのに愛着を感じるキャラに仕上がっている。
博物誌は膨大な知識の宝庫らしいがプリニウス本人についての資料はあまりないそうでわりと想像で描いているところがあるそうだが身近に感じるというか妙なリアリティがあって興味深い内容だった。博物誌の基盤はプリニウスの言動や当時の様子を記述した書記の仕事が活きていたからってことでいいのかな?
とり・みきと共著と聞いて、絵柄全然違うじゃ・・と思っていたが、人物はヤマザキさん、背景がとりさんになっていて違和感がないというかみごとな融合というかんじ。とりさんの背景の緻密さは改めてびっくりした。
前作の風呂漫画はけっこう漫画的描写が多かったがこちらは落ち着いた作風。というか前作もこういう作風で描きたかったらしいのでこちらのほうが本来、というべきなのだろう。ガチガチでなく突き抜けていない等身大な人間描写は秀逸。
ヤマザキマリ とり・みき
バンチコミックス45プレミアム1~ / 新潮社
ジャンル:青年・歴史 / 好み度:★★★★★