卵岩から生まれた孫悟空の師匠(というより保護者)の三蔵は、導師就任の式典の最中に妖魔シトラスの持つ「百封瑠璃」に能力を奪われ、少年に後退してしまう。徳の高い偉人の記憶を封じ込め所有者の力とする百封瑠璃から三蔵の記憶を取り戻す方法を得るため、土地神のアドバイスのもと、西にあるという「深眼の谷」へ向かう悟空たちだが......。
西遊記をベースにした作者のノリが全開の冒険ファンタジー。この作品に退屈という文字はないといってもいいくらいキャラが動く動く。個性的なキャラクターによるテンポのいい会話、シリアスとコメディのメリハリもきいています。
また、おそらく作者でしか生み出せないであろうオリジナル設定が見所です。特に主人公の悟空。西遊記ネタの漫画は孫悟空はたいてい天下無双の戦闘能力を持っているのですがこの作品の悟空は年相応の強さしかもっていません。あとの方でその潜在能力の欠片はうかがえるものの、やはり弱い(フォント7)。このあたりが珍しいというかかえって愛しさが増すというか(笑)あと、如意棒に人格があり、人型になれるというところもツボでした。キャラがまた突き抜けて面白かったり。
雑誌が休刊してしまい、物語も頓挫したまま。再発売分もそれまで発表した分しかないようです。
巣田祐里子
ブッキング/全3巻
ジャンル:冒険ファンタジー / 好み度:★★★★★